根拠はない

マイティースイズデリシャス

ハザカイキでぽろぽろ感想など

とりあえず今のところのざっくり感想です。まとめてちゃんとしたものを書き直す可能性もあります。内容にふれています。

 

「ゲボですよ、おれたち」
週刊誌に垂れ込まれた菅原クンに叩きつけられた川綱のひと言。

田村マネージャーの「全部出しましょう」の声でゲボにまみれた菅原クンは最後、すべて洗い流してくれるシャワーみたいな雨の中、濡れないようにジャケットの中に入れ込んでいたカメラバッグさえ地べたに捨て置き、2人で笑い合って過ごす楽しさにプロポーズまでして。傍観者でいることを許さないような鋭い目でわたしたちにフラッシュライトを浴びせた菅原クン、ゲボはゲボであれよ。ゲボの正しさや美しさを見せてくれよ。永遠に「論破ってことでいい?」ってイキった小憎らしい菅原クンであれよ。

 

初見第一幕の間中、なぜこれを舞台でやろうと思ったのか考えていました。

舞台は対比や繰り返しが映像以上に分かりやすくなる気がしていて、それを説明してくれる読み物はないのかなと思っているところなのですが、その効果を狙った部分もありそうだと思いつつそれでもなお物語だけでなく場面の切り替えの速さ、音楽の入り方もなんだか映画っぽくて、よりなぜ舞台にすることを選んだのか不思議でした。実験的と呼ぶには完成度が高く熟練された左右とたまに正面、そして奥にかかる橋の立体的な舞台装置、それと菅原クンの濡れ場(物理)。シーンごとに舞台を分割したり引き延ばしたり、映像を舞台で実現させるためにどう演出していくのかがベースのアイデアなのかなと思いました。けれどクライマックスの橋本香アイドルの記者会見でようやく理解しました。

あのこねくりまわしたセリフを書いた三浦さんって面白いなあとまず興味がわきました。ちなみにわたしの一番好きな太宰治の作品は「駆け込み訴え」で、町田康の「告白」は超傑作だと思っています。

読点を嫌う問答みたいな記者会見、こんなのは自分の中を覗き込みながら坂道を転がり落ちるみたいに速度を増してヒステリー混じりの自己陶酔にも陥りそうなものだけど橋本香アイドルはぎりぎりのところで留まり、ときに菅原クンに目をやり、またカメラの向こうの視聴者や客席のわたしたち届く演説をやりきり、菅原クンを見送る。腹の座り方が半端ない橋本香アイドル。

活動自粛中の橋本香アイドルがひとり部屋で歌う中島みゆきの「時代」。『まわる まわるよ 時代はまわる』歌詞に合わせて舞台が回り、週刊誌の矛先も菅原クンにまわってくる。そして記者会見の前にもまた同じ歌を歌い、自分のターンに戻す橋本香アイドル。橋本香アイドルが時代をまわしているんだね、2000年に一人の逸材・天才的なアイドル様だよ……。

 

わたしの一番好きなアイドル丸山隆平さんは、今回の演目でも三角関係巻き込まれ型主人公であったな。前作のパラダイスでは真鍋と辺見との三角関係だった梶君、今回は里美と伸二との三角関係な菅原クン。

恐ろしいのが両作品とも当て書きであるということ。そんな役をあてたくなる丸山隆平さんは赤堀さん、三浦さんにどのような面を見せているのか想像に堪えない(饅頭めちゃくちゃ怖い)。

次のツアーでは『セクハラ変態記者』ウチワがいくつ上がるのか楽しみ。